March 01, 2018
電波法適合証明等取得のための試験の実施について
JATEでは、特定無線設備について電波法適合証明等取得のための試験をお受けしております。試験を実施する上で下記のような留意点がありますのでご承知おきください。なお、不明な点がありましたら、ご相談ください。
- 被試験用機器のハンドリング
JATEに海外の工場やメーカーから試験用のサンプルを送付いただくことは可能ですが、JATEでは輸出管理業務を行っていないため、海外へ返送することができません。国内でハンドリングできるような体制を取ることをお願いします。なお、サンプルを試験後に廃棄してよろしければ、海外からの送付いただいても問題ありません。
- 電波暗室の要不要
JATEでは電波暗室を設置しておりませんのでフェーズドアレーアンテナのようなアンテナを外すことが困難な無線設備は試験を実施することができません。試験結果書類をご提出いただければ、認証審査は可能ですが、JATEに認証審査に加えて試験を依頼された場合、試験はJATEから他の試験機関に依頼することになります。試験費用が加算されるとともに、試験期間も増えることにご留意ください。
なお、アンテナ一体型の無線設備であっても基板パターンを切り離し、引き出し線の半田付けなどで取り付けが可能であれば、試験が可能です。この場合、アンテナ利得、アンテナパターンをアンテナ仕様書などで示していただくことがあります。
損失の分かったRF引き出し線を取り付けた状態の被試験機材をご準備ください。
- 無線設備の仕様
電波法の認証では電波の型式(使用周波数、送信電力、変調方式)をお知らせいただく必要があります。変調方式が複数ある場合、各変調方式について試験することが基本ですが、一部省略することも可能なため、機器の仕様を試験前にお知らせいただくことが不可欠です。なお、電源電圧、アンテナ利得、混信防止機能等の詳細が必要となる場合があります。
米国連邦通信委員会 (FCC: Federal Communications Commission)の認証を受けている場合、FCCのデータは公示されておりますので機器の仕様が不明な場合はFCCの登録番号等をお知らせいただければ、JATE側での機器の理解が進みます。なお、海外と国内では法的規制が異なるため、海外開発品の場合は日本仕様の製品であることをご確認ください。
- テストモードの有無
複数の周波数チャネルを利用できる無線設備ではチャネル (3波以上の場合は両端及び中央の周波数) を切り替えて試験を実施します。ソフトウェアで自動的にチャネルを切り替わるような無線設備では試験を実施することが困難となります。テストモードで動作するソフトウェアをご準備ください。また、テストモードではチャネルの指定以外に連続波の送信と変調の有無の切り替え及び受信状態の設定が必要となります。また、変調の種類が複数ある場合は変調の種類を切り替える機能も必要となります。
なお、混信防止機能やキャリアセンスの測定では市販用のソフトウェアが必要となりますので、こちらもご準備ください。
米国連邦通信委員会 (FCC)や欧州のCE: Conformité Européenneマーキングの認証を取得されている機器の場合、開発メーカや工場等ではテストモードが動作する被試験機器を準備していると思われますので、開発メーカや工場に問い合わせいただくことをお勧めします。
- 電源電圧変動の安定化機能の有無
多くの特定無線設備の試験では電源電圧の±10%変動時の送信周波数等の変化を調べる試験項目があります。電源電圧の変動時に高周波回路の電圧を1%以下に安定化を図っている場合は、電源電圧変動試験を省略できますので試験期間を短縮することができます。レギュレータICのデータシート等の安定化機能の資料をお示しください。
なお、電池駆動で1%以下の安定化機能がない場合、電池の初期電圧及び終止電圧が試験対象となりますのでお知らせください。
- SAR測定の要不要
20mW以上の移動電話機、タブレット等では比吸収率 (SAR:Specific Absorption Rate) の測定が必要となります。JATEではSAR測定器を準備しておりません。電波暗室と同様に外部の試験機関に依頼することになります。試験費用が加算されるとともに、試験期間も増えることにご留意ください。
- 疑似基地局・疑似親機の要不要
携帯電話機の試験では使用チャネルや送信電力の指定に疑似基地局が必要となります。携帯電話機以外でも親機から指示を受けてチャネルや変調方式を変える機器の場合、疑似親機が必要となります。JATEではこれら疑似基地局及び疑似親機を準備しておりません。携帯電話機の場合は他の試験機関に依頼することになります。また、疑似親機が必要な場合は申込機器とともに疑似親機のご提供をお願いします。
テストモードや試験用ソフトウェアが準備いただいた場合、これらが不要となることがあります。市販用のソフトウェアでの試験の場合、送信に対向機器が必要であれば、対向機器もご準備ください。
- 米国の認証 (FCC) や欧州の認証 (CE) との差異
FCCやCEの認証と電波法ではスプリアス規定等が異なります。電波法では従来からの近傍及び帯域内の不要波測定等のFCCやCEに無い測定が必要となります。そのためFCC及びCEの試験データでは不足となり、別途、電波法用の試験が必要となります。
- スプリアス測定周波数
スプリアスの測定は平成16年総務省告示第88号 (特性試験の試験方法を定める件) の別表第1により「スプリアス領域 (設備規則別表第3号における不要発射の強度の許容値を規定する周波数範囲のうち9 kHzから110 GHz又は中心周波数の2倍の周波数のうちいずれか高い周波数までの周波数範囲をいう。)」 で測定するとされていますが、平成17年総務省告示第1309号の附則により、当分の間、以下の表によるとされています (注は省略) 。
基本周波数帯の範囲 | 下限 | 上限 |
9 kHzを超え 100 MHz以下 | 9 kHz | 1 GHz |
100 MHzを超え 300 MHz以下 | 9 kHz | 第10次高調波 |
300 MHzを超え 600 MHz以下 | 30 MHz | 3 GHz |
600 MHzを超え 5.2 GHz以下 | 30 MHz | 第5次高調波 |
5.2 GHzを超え 13 GHz以下 | 30 MHz | 26 GHz |
13 GHzを超え 150 GHz以下 | 30 MHz | 第2次高調波 |
150 GHzを超え 300 GHz以下 | 30 MHz | 300 GHz |
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